高額特定資産を取得した場合の消費税の特例

高額特定資産を取得し一般課税で申告した場合に事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用を制限する取扱い(いわゆる「3年縛り」)の対象に、課税事業者となった課税期間に、高額特定資産について「棚卸資産の調整措置」の適用を受けた場合が追加されました。

【適用時期】

この改正は、令和2年4月1日以後に「棚卸資産の調整措置」の適用を受けることとなった場合に適用されます。

1棚卸資産の調整措置

(1)課税事業者となった場合

免税事業者が課税事業者となった場合において、課税事業者となった日の前日において、免税事業者であった期間中に行った課税仕入れ等に係る棚卸資産を有しているときは、その棚卸資産の課税仕入れ等に係る消費税額は、その課税事業者となった課税期間の課税仕入れ等の税額とみなされます。

(2)相続等により事業を承継した場合

① 課税事業者である個人事業者が、相続により、免税事業者である被相続人の事業を承継した場合において、被相続人が免税事業者であった期間中に行った課税仕入れ等に係る棚卸資産を引き継いだときは、その引き継いだ棚卸資産の課税仕入れ等に係る消費税額は、その引継ぎを受けた個人事業者の引継ぎを受けた課税期間の課税仕入れ等の税額とみなされます。
② 課税事業者である法人が、合併又は分割により、免税事業者である被合併法人又は分割法人の事業を承継した場合において、被合併法人又は分割法人が免税事業者であった期間中に行った課税仕入れ等に係る棚卸資産を引き継いだときは、その引き継いだ棚卸資産の課税仕入れ等に係る消費税額は、その引継ぎを受けた法人の引継ぎを受けた課税期間の課税仕入れ等の税額とみなされます。

(3)免税事業者となる場合

課税事業者が、免税事業者となる場合において、免税事業者となる課税期間の前課税期間中に行った課税仕入れ等に係る棚卸資産を有しているときは、その棚卸資産の課税仕入れ等に係る消費税額は、仕入税額控除の計算の基礎となる課税仕入れ等の税額から除かれます( 消法36 ⑤)。

(4)制度の趣旨

免税事業者である課税期間に課税仕入れ等を行い、課税事業者となった後に譲渡した棚卸資産については、仕入税額控除の適用がないにもかかわらず、課税資産の譲渡等に係る納税の義務が生じることになります。そのため、免税事業者であった課税期間の課税仕入れ等を仕入税額控除の対象とする上記(1)及び(2)の措置が設けられています。
この取扱いは、通常の課税仕入れ等と平仄をあわせ、棚卸資産の明細を記録した書類の保存が要件とされています。ただし、災害その他やむを得ない事情によりその保存をすることができなかったことをその事業者において証明した場合には、書類の保存は要件とされません( 消法36 ②④)。
また、課税事業者である課税期間に課税仕入れ等を行い、免税事業者となった後に譲渡した棚卸資産については、仕入税額控除の適用を受けたにもかかわらず、課税資産の譲渡等に係る納税の義務が免除されることになります。そのため、免税事業者となった後に譲渡するものを仕入税額控除の対象から除外する上記(3)の措置が設けられています。

2高額特定資産を取得した場合の特例

高額特定資産を取得した場合の3年縛りの取扱いは、会計検査院が、「平成24年度決算検査報告」において、大規模な事業者が事業者免税点制度又は簡易課税制度をその趣旨に沿わない形で適用している事例が見られると指摘したことから、平成28年度税制改正において設けられました。

(1)高額特定資産の仕入れ等を行った場合

課税事業者が、一般課税により申告する課税期間において、高額特定資産の仕入れ等を行った場合には、仕入れ等の課税期間の翌課税期間から、その高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間まで、事業者免税点制度を適用することができません( 消法12の4 ①)。また、3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの間は簡易課税制度選択届出書を提出することができないため、簡易課税制度を適用することもできません( 消法37 ③三)。
高額特定資産とは、一の取引の単位につき、支払対価の額が税抜1,000万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産をいいます。
高額特定資産の仕入れ等には、国内における高額特定資産の課税仕入れだけでなく、高額特定資産の特定課税仕入れ及び高額特定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取りも含まれ、1,000万円以上であるかどうかは、次の金額によって判断します。

1,000万円以上の判定に用いる額  
① 課税仕入れである場合       …… 支払対価の額の100/110に相当する金額
② 特定課税仕入れである場合     …… 支払対価の額
③ 保税地域からの引取りである場合  …… 引き取る資産の課税標準である金額

改正前は、免税事業者である課税期間に高額特定資産に該当する棚卸資産の仕入れを行い、その後、課税事業者となった課税期間に「棚卸資産の調整措置」の適用を受けた場合には、高額特定資産について仕入税額控除の適用を受けたにもかかわらず、3年縛りの対象とならないという制度の矛盾がありました。
そこで、このような場合にも、事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用を制限することとされました。


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