定額減税 夫婦間での扶養親族所属の変更も可能/名古屋・岡崎市の税理士法人アイビスの解説
共働き世帯の扶養親族の所属は申告書等の記載で判定
「所得税の定額減税」について、租税特別措置法施行令では、共働き世帯における扶養親族(二以上の居住者の扶養親族)の取り扱い等が規定されています。
共働き世帯に扶養親族がいる場合、夫婦いずれの扶養親族とするかは、扶養控除等申告書などの申告書等の記載によって判定されます。ただし、夫の扶養親族として扶養控除等申告書に記載・提出済の場合であっても、夫婦ともに扶養親族の所属の変更に係る手続きをすれば、妻の扶養親族とすることも認められます。夫婦のいずれかが定額減税の対象外となる高額所得者に該当するケースでは、扶養親族の所属の変更により、高額所得者でない配偶者側で扶養親族分に係る定額減税を受けることができます。
夫婦両方の所得税額から扶養親族分の減税は不可
所得税の定額減税では、納税者本人(令和6年分の合計所得金額が1,805万円以下の者)の所得税額から、(1)納税者本人の3万円と(2)同一生計配偶者・扶養親族1人につき3万円の合計額を控除します。
夫婦共に給与所得者の共働き世帯は、それぞれの勤務先が行う月次減税事務・年調減税事務により減税を受けます。こうした共働き世帯に扶養親族がいる場合、その扶養親族は夫婦いずれか一方の扶養親族として減税を受けることになります。夫婦両方の所得税額から扶養親族分の減税を受ける、いわゆる「二重取り」は認められません。
夫婦いずれの扶養親族の所属とするかは、令和6年分に係る【参考1】の申告書などの記載で判定されます。
【参考1】定額減税における扶養親族の所属の判定に係る申告書等
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・従たる給与についての扶養控除等申告書
・公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
・源泉徴収に係る定額減税のための申告書
・年末調整に係る定額減税のための申告書
・予定納税額の減額承認申請書
・確定申告書
夫婦それぞれが異動申告書などを提出することで所属の変更が可能に
【参考1】の申告書等により所属が決定した後でも、その所属の異なる記載をした申告書等を提出することで、当初決定した所属を変更することもできます。
例えば、既に夫の扶養控除等申告書に扶養親族として記載・提出をしている場合でも、夫が扶養親族の変更の旨を記載した扶養控除等異動申告書を提出の上、妻が扶養控除等異動申告書に扶養親族として記載・提出することで、妻側の扶養親族に所属を変更することが可能です。
高額所得者でない配偶者側で扶養親族分の減税を受けることも一案
令和6年分の合計所得金額が確定して高額所得者に該当した場合は、本人及びその同一生計配偶者・扶養親族も減税の対象外となります。そのため、共働きの夫婦のうちいずれかが定額減税の対象外となる高額所得者に該当するケースにおいて、高額所得者側の扶養親族としている場合には、高額所得者本人と扶養親族は減税を受けることできず、配偶者のみが減税を受けます。
一方で、高額所得者から配偶者側の扶養親族に所属を変更した場合には、配偶者側で配偶者本人分と扶養親族分の減税を受けることが可能となります。
上記のように、扶養親族の所属の変更は、夫婦のうちいずれかが定額減税の対象外となる高額所得者に該当するケースで有効になります。
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