電子帳簿等保存制度の一般電子帳簿について/岡崎市・名古屋にある税理士法人アイビスの解説
前回、電子帳簿等保存制度の概要について解説しました。その中で、電子帳簿等保存制度には、一般電子帳簿と優良な電子帳簿の2種類があることをお伝えしました。
今回は、その中の一般電子帳簿について解説します。
「一般電子帳簿」の保存要件
① 自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する帳簿であること
② 複式簿記の原則により記録されていること
③ 帳簿や書類を作成・保存するシステムの操作説明書や帳簿や書類の作成・保存に当たっての「電子計算機処理、帳簿データの備付け、データの保存に関する事務手続を明らかにした書類」等を備え付けること
④ 見続可能装置等(電子計算機、プログラム、ディスプレイ、プリンタ)、これらの操作説明書を備え付けること
⑤ 保存したデータをディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと
⑥ 税務職員の質問検査権に基づくダウンロードの求めに応じることができるようにしておくこと
注意点
③については、セミナーなどでよく「システムの概要を記載した書類などを備え付けること」などとシンプルに紹介されているところですが、案外単純ではありません。
該当する条文(電帳規2②一)をよく読むと、自社で記帳・帳簿作成しているのか他社に委託しているのか、記帳・帳簿作成のプログラムを自社で開発したのか、他社のものを使用しているのかによって、備え付けるべき書類が異なってきます。どこに該当するかを判断し、書類を保存しなければなりません。
④については、その台数や性能等について、法令上の制限は特にありません。しかし、小規模事業者などにおいて、ディスプレイが例えば1台しかなく税務調査にディスプレイ等を優先的に使用することが一時的に難しい状況が発生するなどした場合には「そのような場合には当該電磁的記録のコピー(複製データ)を作成して税務職員に提出できるようにしておくなどの対応に代える必要があるものとされています。
⑤については、具体的にどのような形式で出力するかについては、特段の定めがありません。したがって、「 画面印刷(いわゆるハードコピー)であっても要件を満たせば認められるものとされています。
まとめ
一般電子帳簿の保存要件は、会計ソフトの操作説明書や見続可能装置等の備付け、そして税務職員のダウンロードの求めに応じること、と比較的容易なものです。電帳法上の要件を満たさずに、紙に出力することなくデータのまま保存している状態であれば、電帳法上の要件を満たしたうえで、データ保存するようにしましょう。
次回は、優良電子帳簿保存法について解説します。
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