優良な電子帳簿保存のルールについて②/名古屋・岡崎市の税理士法人アイビスによる知っているとお得な情報をお届け

前回の記事で優良な電子帳簿の概要と対象となる帳簿の種類、保存ルールについて解説しました。

今回の記事では、優良な電子帳簿保存を行うメリットについて解説していきます。

「優良な電子帳簿」のルールで保存すれば過少申告加算税の軽減措置などが受けられる

(1) 過少申告加算税の軽減措置について

(1)-1 軽減措置を受けるためにはあらかじめ所轄税務署長に届出書を提出

過少申告加算税の軽減措置を受けようとする場合には、「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等に係る65万円の青色申告特別控除・過少申告加算税の特例の適用を受ける旨の届出書」を、あらかじめ所轄税務署長に提出することとされています。

(1)-2 軽減措置が受けられるのは帳簿の保存義務があるものに基因する誤り

優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の適用を受けられるのは、「特定国税関係帳簿に記載された事項」に限られます。

そのため帳簿の保存義務がない一時所得や配当所得といった所得に係る過少申告や、所得税の所得控除(保険料控除・扶養控除等)の適用誤りに基因する過少申告については、優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の適用はありません

(1)-3 仮装・隠蔽がある場合には軽減措置は適用されない

仮装・隠蔽により帳簿の保存義務がない所得(一時所得など)の過少申告があった場合には、事業所得について優良な電子帳簿保存を行っていたとしても過少申告加算税の軽減措置は適用されませ

(1)-4 青色申告法人が保存しなければならないこととされる帳簿の全てについて優良な電子帳簿の保存ルールに従って保存

過少申告加算税の軽減措置の適用を受けようとする場合、優良な電子帳簿の保存ルールに従って保存する必要があるのは、その税目に係る帳簿全てとされています。

総勘定元帳及び仕訳帳等(現金出納帳・固定資産台帳なども含む)についても作成している場合は、これらについても削除・訂正履歴が残るなどのシステムを使用して作成するとともに、帳簿間の相互関連性や検索機能を確保するといったことが求められます。

(1)-5 令和5年度税制改正で優良な電子帳簿の対象となる帳簿の合理化・明確化

  • 損益計算書に記載する科目:課税標準や税額の計算に直接影響を及ぼすことを踏まえ、その科目に関する補助帳簿の全て
  • 貸借対照表に記載する科目:損益計算書に記載する科目との関連性が強く、その科目の変動について把握する必要性が高い科目に関する補助帳簿

(1)-6 システムの変更があった場合には変更後においても優良な電子帳簿の保存ルールに従ってデータの保存

システムの変更があった場合には、変更前のシステムにより作成された電子帳簿についてはシステム変更後も優良な電子帳簿によって保存しなければなりません。

システム変更前のデータについて書面で保存していた場合、届出書を提出していたとしても過少申告加算税の軽減措置を受けられないことになります。

(2) 所得税の青色申告特別控除(65万円控除)の適用について

青色申告特別控除のうち55万円控除を受けるためには
①複式簿記での記帳
②貸借対照表と損益計算書の添付
③期限内申告
上記3つがあります。

65万円控除を受けるためには、上記55万円控除の要件に加え、
④優良な電子帳簿の保存ルールに基づく帳簿書類の保存
⑤「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等に係る65万円の青色申告特別控除・過少申告加算税の特例の適用を受ける旨の届出書」の提出
こちらが必要になってきます。

※55万円控除の要件に加え、e-TAXによる電子申告をした場合においても従来通り65万円控除を受けることが可能

最後に

名古屋・岡崎市にある税理士法人アイビスでは、このような事業者様に役立つ情報を随時配信しております。

ご不明な点がございましたらお気軽に税理士法人アイビスまでお問い合わせくださいませ。


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