「低解約返戻金型逓増定期保険」の名義変更について/岡崎市の税理士法人アイビスがお届け

金融庁は「低解約返戻金型逓増定期保険」という法人向け商品を利用した租税回避行為を問題視しています。
同商品は契約開始から一定期間経過すると、契約者が受け取る解約返戻金が大きく跳ね上がる仕組みになっている。
その仕組みを利用して、法人から個人へ契約者の名義変更をすると、返戻金は税制上は個人の一時所得として扱われることになり、役員報酬などとして金銭を支払う時と比べて、所得税の負担を大きく軽減できるためである。

所得税基本通達どおりなら解約返戻金の額が評価額

所得税基本通達では、名義変更された場合の保険契約の権利の評価は「解約返戻金」の額とされている。
「解約返戻金」が低額に設定されている期間に、契約者を法人から個人に名義変更した場合、名義変更時の解約返戻金の額が、個人の受ける経済的利益の額として評価することが不合理とされる可能性がある。
しかし、一定の「低解約返戻金型逓増定期保険」や「復旧することのできる払済保険」など解約返戻金の額が著しく低い保険契約等については、法人税の取扱いを踏まえ、支給時の法人の資産計上額で評価する。


保険契約等の種類 R3.6.30までの支給 R3.7.1以後の支給
②③以外の保険契約等 支給時解約返戻金の額
低解約返戻金型保険(支給時解約返戻金の額<支給時資産計上額×70%のもの) 支給時解約返戻金の額 支給時資産計上額
復旧することのできる払済保険等(元の契約が法基通9-3-5の2の適用を受けるもの) 支給時解約返戻金の額 支給時資産計上額+法基通9-3-7の2による損金算入額

合理性がなければ否認される?

所得税基本通達の取扱いは、法令を前提として、基本的な課税上の取扱いを明らかにしたものである。
この通達に沿った形で課税の処理を行っていても、個別の事実関係によっては、個人の受ける経済的利益の額の評価として合理性があるものとは言い切れず、税務上、否認されるリスクが生じることになるだろう。

名古屋・岡崎市の税理士法人アイビスでは皆様に役立つ情報を随時お知らせしています。
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参考サイト→国税庁HP(所得税基本通達)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/04.htm
国税庁HP(法人税基本通達)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_03.htm


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