給与?外注?判定方法


岡崎市にある税理士法人アイビスです。

今回は「給与?外注?判定方法」と題して、給与なのか、外注なのか判定の仕方を解説していきたいと思います。

給与と外注の違い

給与とは

雇用契約に基づき事業主からの指揮命令系統下で労務を提供することにより、その対価として事業主から支払われるもの。

外注費とは

事業主との雇用契約はなく、個人事業者として企業からの求めに応じて専門的技術等を生かし、その対価として支払われるもの。

判断基準

①雇用関係の有無

雇用関係がなく、他の事業主と複数の契約が可能か

②指揮命令系統の有無

基本的に自己が業務の流れを決定できるか

③拘束性の有無

就業時間・就業場所に拘束されるか

④材料・機材等の負担

業務に必要な設備や費用は自己が負担するか

⑤報酬の算定

時給や日給のような固定的なものではなく、請負の対価として算定されるか

⑥責任の有無

自己の業務に責任を負うか

⑦独立性の有無

独立した事業として成立しているか

外注化の効果

固定費

給与という固定費が外注化により削減され、成果に応じた外注費の支払が可能となれば、企業のキャッシュフローにも有益なものとなります。

源泉徴収

給与には所得税の源泉徴収が必要ですが、外注費には基本的に源泉徴収の必要がありません。

消費税

給与には消費税がかかりませんが、外注費には消費税がかかるため、外注費として処理される方が納める消費税が少なくなります。さらに、外注先となる個人事業者は社会保険や労働保険の対象とはならず、企業の社会保険料の負担軽減を図ることができます。

結論

正社員を退職させ外注化し、形式上は外注先として業務を委託するが、実態は雇用関係が存在するなど単なる表面的なものは外注として認められません。

また、社内外注という形態にも注意が必要です。社内外の場合は、外注を受けた者が通常の正社員と同じ場所で同じ業務を行うケースが多く、正社員と同様に取り扱われる傾向にあるため、相手先が独立した企業体であることを立証する必要があります。

なお、平成21年度12月17日付で「大工、左官、とび職等の受ける報酬にかかる所得税の取り扱い」が法令解釈通達として発表されました。

参考文献:大工、左官、とび職等の受ける報酬に係る所得税の取扱いについて(法令解釈通達)

実務の判断における5つの着眼点

①代替性の有無

  • 他人が代替して業務を遂行することまたは役務を提供することが認められるか

雇用契約に基づく給与の場合、雇用された者は自分自身が仕事をすることで、その役務の対価を受け取ることができます。一方、請負契約に基づく事業所得の場合、依頼主との間で仕事の期限や代金等を決定すれば、実際の仕事は必ずしも請け負った者自身に限らず、自己が雇用する第三者に任せることができます。

役務提供者が契約当事者に限定され、他の者が当事者に代わり役務提供できない場合や、本人が自らの判断で第三者を使うことが認められていない場合は、代替性がないといえ、給与所得の該当性を強めるといえます。

②拘束性の有無

  • 報酬の支払者から作業時間を指定される、報酬が時間を単位として計算されるなど時間的な拘束を受けるか

勤務する日や就業時間が決められていたり、出勤簿・タイムカードまたは本人からの報告等で就業時間が管理されていたりする場合には、時間的拘束があるといえ、給与所得の該当性を強めます。

③指揮監督の有無

  • 業務の具体的な内容や方法について報酬の支払者から指揮監督(業務の性質上当然に存在する指揮監督を除く)を受けるか

雇用契約の場合、雇用主が定める就業規則に従わなければならず、作業現場には監督者等がいて、個々の作業について指揮命令をするのが一般的です。一方、請負契約の場合、仕事の期限さえ守れば途中における進行度合いや手順等について、依頼主から特に指図を受けることがないのが通常です。

仕様書・設計書・指示書等の交付により作業の具体的内容や方法が指示されており、業務の遂行が使用者の具体的な指揮命令を受けて行われている場合は、給与所得の該当性を強めるといえます。

④報酬請求権の有無

  • 不可抗力のため業務が完了しない場合において、自らの権利として既に遂行した業務または提供した役務に係る報酬の支払いを請求できるか

請負契約の場合、引渡しを終えていない完成品が、例えば災害等で滅失して期限までに依頼主に納品できない場合は、一般的には報酬の支払を受けることができません。一方、雇用契約の場合、労務の提供を行えば結果に関係なく報酬の対価を請求できます。報酬が役務の結果による較差が少なく、業務の量に応じて支払われるなどして、その報酬の性質が支払者の指揮監督の下に一定時間労務を提供する場合には給与所得の該当性を強めるといえます。

⑤材料または用具等の供与の有無

  • 業務に必要な材料または用具等を報酬の支払者から供与されているか

雇用契約の場合は材料または用具等所得者に支給しますが、請負契約の場合は所得者が材料または用具等を自分で用意するのが一般的です。

例えば、据置式の工具など高価な器具を所有しており、労務にこれを使用している場合には、事業所得の該当性を強めるといえます。

まとめ

これらの判定基準は一例にすぎません。実際の実務により判断することになるため、詳しいことや迷ったことがあれば岡崎市、名古屋にある税理士法人アイビスまでよろしくお願いします。


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