内定者に対する交通費支給の仕入税額控除について/岡崎市・名古屋にある税理士法人アイビスの解説


企業が内定者に対して、入社日までに実施する社内研修や内定者懇親会などに必要な交通費を宿泊費等として、一定額を支給することがあります。10月開始のインボイス制度後、内定者に対する交通費の支給について、仕入税額控除が可能かどうかを解説します。

「出張旅費特例」の適用が可能

内定者に支給する交通費等については、「出張旅費特例」を適用して、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるといいます。
インボイス制度開始後は、原則として適格請求書等を保存しなければ仕入税額控除を適用することができませんが、適格請求書等の交付を受けることが困難な取引については、帳簿のみの保存で仕入税額控除を適用することができます。

出張旅費特例における従業員等

取締役や執行役などの法人税法2条15号に規定する役員又は使用人のことです。
使用人は、企業と雇用関係があるものを指します。
例えば、企業と業務委託契約を締結している者については、雇用関係がないとして同特例の対象外となります。

内定者は従業員等に含まれる

内定者については、入社する前の状態であるが、企業から内定通知を受け、企業に対して入社誓約書等を提出しているなど一般的な場合には、始期付解約権留保付労働契約が成立していると解される。始期付解約権留保付労働契約は、条件付きではあるものの労働契約の一種であることから、内定者には企業と雇用関係があるとされ、出張旅費特例の対象となる従業員等に含まれます。

始期付解約権留保付労働契約

「始期付」とは、内定の時期から実際に入社し就労するまでは一定の期間があるためであり、
「解約権留保付」とは、入社までにやむを得ない事由が発生した場合には内定を取り消しすることがあるため、いわば条件付きの労働契約であるのです。
採用内定は、労働契約が成立しているものと解される一方で、会社が解約権を保持した状態である点が、本採用との大きな違いであることがわかります。

まとめ

内定者についても従業員等に含まれるため、出張旅費特例の適用が可能になります。インボイス制度開始後についても帳簿のみの保存で仕入税額控除を適用することができます。
出張旅費特例の適用を受け、帳簿のみの保存で仕入税額控除を受けるには、帳簿に「出張旅費等」などといった仕入名を記載しなければならないので、注意が必要です。

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