数次相続の場合の相続税申告の5つの注意点/岡崎市の税理士法人アイビスが皆様のお役に立つ情報をお伝えします。
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前回に引き続き今回も「数次相続」について解説したいと思いますが、
今回は「数次相続」についての注意点についてご紹介したいと思います。
1.申告と納税義務が引き継がれる
国税通則法及び相続税法では、申告義務のある人がその申告書を提出前に死亡した場合、その相続人が申告及び納税義務を引き継ぐことが規定されています。
したがって図の事例の場合では、父の相続税申告での長男の申告と納税義務はその相続人である妻と孫2名に引き継がれることになります。
2.相続税の申告期限が延長される
相続税の申告期限は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内になっています。
一方、提出義務者が提出期限前にその申告書を提出しないで死亡した場合、その相続人の申告期限は、提出義務者の死亡を知った日から10か月以内に延長されます。
事例の場合、長男の妻、孫2名が、長男に代わって提出する父の相続税の申告期限は、平成31年2月25日に延長され、長男の相続税の申告期限と同日になります。
なお、母及び長女が提出する父の相続税の申告期限は平成30年11月15日であり、延長されませんので注意が必要です。
3.基礎控除は増えない
相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。
法定相続人の数が増えると控除額も多くなりますが、数次相続の場合は、被相続人の相続が発生した時点での法定相続人の数で計算しますので増えることはありません。
図の事例の場合、父の法定相続人の数は母、長男、長女の3人となります。
4.相次相続控除が受けられる
相次相続控除とは、被相続人が相続開始前10年以内に、相続等で取得した財産に相続税が課されていた場合には、その被相続人から財産を取得した人の相続税額から、一定の金額を控除する制度です。
同じ財産に相続税が二重に課税されることで負担が過重になるのを調整する制度です。
数次相続においても相次相続控除が適用されます。
事例の場合、父の相続税申告での長男の相続税額について、長男の相続税申告での妻及び孫2名の相続税額から一定の金額が控除されます。
5.「配偶者の税額の軽減」、「小規模宅地等の特例」の適用について
数次相続では、「配偶者の税額の軽減」及び「小規模宅地等の特例」を考慮して遺産分割すると一次相続及び二次相続全体の相続税額の軽減を図ることができます。
「配偶者の税額の軽減」とは、被相続人の配偶者が相続した財産の価額が、1億6,000万円と配偶者の法定相続分相当額のどちらか多い金額まで相続税がかからないという制度です。
また、「小規模宅地等の特例」とは、相続した事業の用や居住の用の宅地等について一定の要件に該当すればその評価額が一定割合で減額される制度です。
相続税の税額軽減を図るには、一次相続及び二次相続の遺産分割について綿密な試算をする必要がありますので相続税に強い税理士に相談することをお勧めします。