家族信託の限界 遺言が解決する/岡崎市 税理士法人アイビス 相続サポートセンターが相続・相続税のお役立ち情報をお届けします


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不動産を所有しているオーナーにとって、資産や家族の未来を守るためには、遺言書の作成が非常に重要です。
一方で、「家族信託を利用すれば遺言は不要」と誤解している人も少なくありません。
今回は、家族信託だけではカバーできない、遺言書の独自の機能と、それがなぜ不動産オーナーに必要なのかをわかりやすく解説します。

カバーできない財産を指定

本人名義の預貯金

例えば、家族信託では生前に子ども(受託者)に信託した財産への対策はできますが、亡くなった人名義の預貯金口座への対策はできません。
家族信託を利用する場合でも、生活費や自由に使える資金として自身の口座に一定額を残すことを希望する人は少なくありません。
これは当然の希望ですが何にも対策していないと、後でトラブルになることがあります。

畑や田んぼの承継

畑や田んぼといった農地の家族信託には農業委員会の許可が必要であるため、原則としてできません。
そのため、畑や田んぼの承継先の指定も家族信託ではできません。
相続人の間で合意ができれば相続手続きを進められますが、相続争いのきっかけになる危険もあります。
地主家主の場合には遺言書で後継者を指定することで円滑な承継手続きができ、相続時に争いを減らすことができるしょう。

相続人間のトラブル回避

代償金の指定

財産のなかで、不動産の割合が大きい場合は、相続人全員に平等に分けることが困難です。
不動産を相続人の共有にすることをできるだけ避けたいという希望もあるでしょう。
ここで役立つのが、「代償金」という手法です。
不動産を継ぐ人が、ほかの相続人に対して金銭を支払い、相続財産のバランスを取る方法です。
遺言でこの仕組みを指定することで、後のトラブルを避けられます。代償金の指定は家族信託ではできません。

債務の承継先の指定

融資を受けた不動産に関しては、遺言で債務の承継を明確にすることが重要です。
承継先の定めがない場合には、すべての相続人が銀行との交渉に関わることになり、手続きが増えるだけでなく、家族間の負担も大きくなります。
また、相続税の債務控除にも悪影響が出ます。
債務の承継先の指定は、家族信託ではできません。

過去に遺言を作成していても、状況が変わると遺言の書き換えが必要になってくるケースもあります。
例えば、遺言を書いた後に、新規に借り入れをした場合、「債務の承継指定」を入れて遺言の追加作成をしなければなりません。
もし、漏れてしまうと、相続人全員から実印と印鑑証明書をもらい、債務者の指定についての遺産分割協議書を別途作成し、金融機関に提出することになるのです。
後継者(相続人)にこのような調整をさせることは避けたいものです。

予期せぬ事態に備える

生命保険の予備的遺言

遺言で承継するはずだった後継者が先に亡くなった場合に、第2順位の承継先を定める機能を予備的遺言と呼びます。
家族信託でも金銭や不動産など一定の財産については予備的遺言を定めることができます。
しかし、生命保険の予備的な指定は、遺言でないと定めることができません。
遺言により生命保険の予備的な指定をすると後継者のほかにも、もし後継者が先に亡くなった場合に備えて、次に保険金を受け取るべき人を指定することができます。これにより、万が一の事態にも対応可能となり、被相続人の意思がしっかりと受け継がれます。ただ、保険会社によっては遺言による指定に対応できない会社もあるようなので事前の確認も必要です。

遺言書と家族信託は、賃貸不動産オーナーが賃貸事業と家族の未来を守るために非常に重要な手段です。今回解説した遺言書による独自の機能は、家族信託だけではカバーできない領域に対処するためには、必要不可欠になります。遺言書によってのみ実現可能なこれらの機能を活用することでオーナーは自分自身の資産と家族を守ることができます。

税理士法人アイビス 岡崎市 相続サポートセンターでは事業者様に有用な情報を提供しています。
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