借り入れとのバランスが大事 デットクロス対策を知る/岡崎市・名古屋の税理士法人アイビス® 相続サポートセンターが解説
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今回は相続税対策で賃貸経営を考えている方への知っておいてほしい情報をお伝えします。
償却が終わると所得が上がる
賃貸経営においては、減価償却とローン返済とのバランスが大事です。
利息は経費として計上可能ですが、元金は計上できません。
ここに減価償却費が絡むと、返済期間は利息と減価償却の両方を経費として計上でき、節税効果が生まれます。
結果的に家主の手元に利益が残りやすい状態になっています。
しかし、年を経るごとに、利息の支払いは少なくなり、経費にできない元金の支払いが増えます。
一方、減価償却費は法定耐用年数を迎えると計上できなくなります。
そのため、年間の減価償却費を上回る事態の「デットクロス」が起きて、経営が厳しくなり始めます。
建物付付属設備の耐用年数は15年です。
15年目以降、ローン返済が完了するまでの期間の収支のバランスに注意したほうがよいでしょう。
建物と設備は別々に償却
建物と設備は両方とも減価償却可能です。
しかし、この二つは減価償却の期間が異なります。
建物は木造の場合は22年で、RC造の場合は47年です。
一方、建物付設備は最長でも15年です。
減価償却のメリットは節税効果ですが、その効果を上げるためには減価償却期間を短くすることが重要です。
取得金額は決まっているので償却期間が短いほうが、年間の償却費を大きくとることができます。
経費として計上できる金額が多くなるため家主の所得を大きく下げることができます。
建物附属設備を建物減価償却と合算して、建物の耐用年数で分割する計算方法も間違いではないですが、減価償却の節税効果が薄くなります。
年間の手取りを増やしたいのなら、建物と建物設備を分けて、それぞれ減価償却の計算を行ったほうがいいでしょう。
耐用年数が長いRC造に注意
特に注意が必要なのが、RC造の建物を取得したケースです。
その理由は、財務省が定めたRC造の法定耐用年数47年と、一般的なアパートの返済期間(最長35年)に差があるためです。
法定耐用年数に応じて取得金額を分割する定額法しか選べないので、1年間で経費にできる金額が少なくなります。
1年間で経費にできる金額が少なくなる一方、借り入れの返済期間は10年も短いです。
ここに前述したデットクロスが絡むと、経費となる年間の減価償却費が少ないにもかかわらず返済を行わなければなりません。
しかも経費にできない元金の返済があります。
さらに問題なのは、経理上、収益が上がっているのうに見える点です。
家賃収入は変わらず 入り続ける中、減価償却と利息支払いを経費にできなくなったことで、一見収支がよくなったように見える点です。
しかし、実情は経費計上できる項目が減ったことで税金が多くなっています。
その結果、実際支出は多くても会計上は利益が出ているため、税金が多くなってしまい、「黒字倒産」という事態を招きかねません。