贈与財産の支配・管理・運用等の実態の確認/岡崎市の税理士法人アイビスが解説


贈与には、書面によるものと書面によらないものとがあり、課税事務上、贈与による財産の取得時期は、原則として、書面によるものはその契約の効力が発生した時書面によらないものはその履行の時とされています。

しかしながらこの取り扱いはあくまでその贈与により、贈与財産の所有権等の移転の効力が生じている場合であって、その移転の効力が生じていなければ、その贈与財産の名義が、たとえ受贈者の名義に変更されていたとしても、いわゆる他人名義財産として相続税が課されることになります。

他人名義財産の問題は、今回の制度改正によって生じるのではなく、従前からあったものですが、「相続税の節税を図るために基礎控除の額を下回る相続時精算課税に係る贈与」が増えることが想定されることから重要な点です。

他人名義財産の判断基準

相続税の課税対象財産には、その名義が被相続人名義である場合には、一義的には当該財産が相続財産に含まれるが、その財産の名義が他人名義であっても、
その財産が相続開始時において被相続人に帰属するもであったと認められるものであれば、その財産は相続税の課税対象となる相続財産となる。

特に、親族間等においては、他人名義で財産を取得することもよく見られることから、単に名義のみで当該財産が相続財産に含まれるか否かは相当ではないと解されている。
この点において、主に財産の種別ごとに裁判例等を概観すると次のとおりです。

不動産

不動産については、不動産登記簿に所有者として登記されている者が所有者であると事実上推定すべきであるが、
その不動産の取得の経緯取得原資の出捐や使用収益の状況登記名義人と取得原資出捐者や使用収益者との関係等を総合考慮して、
登記名義人以外の者に帰属するというべき特段の事情があると認められる場合には、その者を当該不動産の所有者と認定するのが相当である(大阪地裁平成27年3月13日判決)

預貯金等

相続財産である預貯金等の帰属については、一般的にはその名義人に帰属するのが通常ですが、
預貯金等は現金化や別の名義の預貯金等への預け替えが容易にでき、親が子供の名前を使用して預金することや、
形式上の名義を家族に移転する等のことが行われることも稀ではないことから、単に名義人が誰であるかという形式的事実のみにより判断するのではなく、

①その原資となった金員の出捐者
②その管理・運用の状況
③贈与の事実の有無等を総合的に勘案して預貯金等の帰属を判断


するのが相当であるとされています。

そして、その帰属の判断に当たり特に重要な要素となる、原資となった金員の出捐者の判断は、その預貯金等の設定当時における、名義人及び出捐者たり得る者の収入並びに資産の取得保有状況等を総合的に勘案するのが合理的である。

株式等

株式の帰属する認定判断にっあっては、その名義が重要となることはもちろんですが、他人名義で株式の取得することも特に親族間においては珍しくないことからすれば、

①株式等の購入の原資を出捐したのは誰か
②その株式等の取得の意思決定をし
③その株式等を管理しているのは誰か
④売却・購入を短期間に繰り返すことがなく、比較的長期間保有を続けている株式にあってはその配当金を取得しているのは誰か

など

その帰属の認定に際して重要な要素ということができることから、これらの諸要素、
その他名義人と管理者との関係及び当該株式等の名義人が当該名義を有することになった経緯等を総合考慮して判断するのが相当である。

贈与時から関与している場合、贈与の目的物となった財産について、

①その名義が変更できるものについては、その名義を受贈者に変更すること、
②その支配・管理・運用等を受贈者自身(その贈与者以外の法定代理人を含む。)が行うこと、
③その贈与の事実を証するものとして贈与契約書の作成及び贈与税申告をすることなどが肝要であると考えます

(基礎控除額以下の贈与を勧めるのではなく、基礎控除の額を若干超える程度の財産の贈与を勧める)

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