相続による承継年の不動産所得金額の計算方法/岡崎市の税理士法人アイビスが皆様のお役に立つ情報をお伝えします。
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今回は相続の承継年で起こりうる、よくある実例をもとに不動産所得のことについてご紹介したいと思います。
家賃収入のあった母がこの16日に亡くなりました。
相続人としてその業務を引き継ぐことになった場合、家賃が毎月16日に受け取る契約となっていた場合は、亡くなった日に受け取った家賃は、私の所得にして差し支えありませんか。
また固定資産税の通知書は、母が生前受けとっていましたが、まだ納付日を迎えていませんでしたので、支払う私の必要経費にして差し支えありませんか。
また貸家の相続登記費用の処理や母が旧定額法により計算していた建物の減価償却費についてもどうなるか教えていただきたい。
A. お母さんが亡くなった月の家賃はお母さんに帰属します。
固定資産税額はお母さん又は相続人どちらかに、また、貸家の相続登記費用は相続人の必要経費となります。
相続により取得した貸家は、引き続き所有していた減価償却資産として、その取得価額と耐用年数、未償却残高を引き継ぎますが、
償却方法は引き継ぐことはできませんので、定額法により減価償却費の計算をすることとなります。
【1.不動産所得の収入計上時期】
不動産所得の収入計上時期は、次のとおりです。
① 契約や慣習により支払日が定められているもの・・・その支払日
② 支払日が定められていないもの・・・その支払いを受けた日
③ 請求があったときに支払うべきもの・・・その請求の日
【2.固定資産税、登録免許税】
(1) 経理処理
業務用資産に係る固定資産税、登録免許税(登録に要する費用を含みます。)不動産所得税等は、その業務に係る各種取得金額の計算において、取り扱うこととなります。
(2) 必要経費算入時期
不動産所得等の金額の計算上必要経費に算入する国税及び地方税は、
その年の12月31日(年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡または出国の時)までに申告等により納付すべきことが具体的に確定したものとなります。
ただし、固定資産税や事業税のような賦課課税法式による租税のうち納期が分割して定められている税額をそれぞれ納期の開始の日又は実際に納付した日の属する年分の必要経費に算入することができます。
【3.建物の減価償却】
(1) 年の中途で業務の用に供した又は供しなかった場合
減価償却費はその年12月31日に有する減価償却費につき計算します。
ただし、年の中途で業務の用以外に供された場合、死亡し又は出国する場合には、次により計算することとなります。
(1年間の減価償却費の額)×(業務供用期間の月数)÷12
※「業務供用期間の月数」とは、①その業務の用に供された日からその年の12月31日(年の中途においては死亡し又は出国する場合にはその死亡又は出国の日)までの期間の月数
②その年1月1日からその業務の用以外の用に供された日又はその死亡又は出国の日までの期間の月数をいい、この月数は暦に従って計算し、1月未満の端数は1月とします。
(2) 相続等により取得した資産に係る減価償却費の計算
贈与、相続(限定承認に係るものを除きます。)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除き、以下これらを伴わせて「相続等」といいます。)により取得した減価償却資産の取得価額は
当該減価償却資産を取得した者が引き続き所有していたものとみなした金額となります。
なお、相続等により取得した資産の減価償却費の計算における耐用年数は、耐用年数、経過年数、経過年数及び未償却残高を引き継いで減価償却費を計算することとなります。
(3)償却方法
建物に係る減価償却費は、次の表のとおり、その取得時期に応じて定められた償却方法により計算します
なおこの取得には、被相続人の償却方法は引き継がれないこことなります
今回のケース
【死亡日と収入計上日が同一の場合の受取家賃の帰属】
被相続人が亡くなられた月の家賃は、その賃貸借契約で定められた日と死亡日と同一となりますので、
亡くなられたお母さん又は業務継承者であるあなたのどちらに帰属するのかが問題となります。
ところで、年の途中で死亡した場合の減価償却費の計算は、上記3の(1)のとおり、その死亡日までの期間の月数によることととされています。
また、給与所得の収入計上時期である給与の支給期日に死亡した者に支給する給与については、非課税所得に当たらない旨、国税庁の質疑応答にあります。
このように、取得金額は、「日」でその帰属を判断していますので、ご質問の受取家賃は、亡くなられたお母さんに帰属するものと考えられます