消費税のインボイス制度について③/岡崎市・名古屋市にある税理士法人アイビスが解説


売上に係る対価の返還等に係る税込価額が1万円未満の場合の特例

インボイス制度における売上に係る対価の返還時の処理

インボイス制度によりインボイスの交付義務とともに、値引等を行った際にも売り手と買い手の税率と税額の一致をさせるために、インボイス交付後に値引等の金額や消費税等を記載した書類として返品伝票等(返還インボイス)の交付義務があります。

インボイスを買い手側に発行して、買い手側が振込等で支払を行うときに、振込手数料相当額やその他の経費を差し引いて入金される場合において売り手が、その相当額を値引等として処理する場合においては返還インボイスの交付義務が生じることとなり、事務負担が増えることとなります。

インボイス制度における売上に係る対価の返還時のインボイス交付の見直し案

その負担を軽減するために、少額な値引等(1万円未満)の場合については、売り手側からの返還インボイスの交付を不要とする見直し案がでております。

これにより、振込手数料相当額を値引として処理する場合において、事務負担が軽減されることとなります。

この適用は、令和5年10月1日以後の課税資産の譲渡等につき行う売上に係る対価の返還等から適用されることとなり、経過装措置ではなく特例のため、適用期限については定められておりません。

会計処理について(買い手) 決済金50,000円 手数料550円(うち消費税50円)の場合

従来において、買い手側が振込手数料を差し引いて売り手側に支払った場合においては、
買掛金50,000円/預金50,000円
となったところが、
振込手数料相当額を値引として処理する場合
買掛金550円/仕入値引500円
      仮払消費税50円 (仕入対価の返還)
買掛金49,450円/預金50,000円
手数料 500円
仮払消費税50円

会計処理について(売り手) 決済金50,000円 手数料550円(うち消費税50円)の場合

従来において、買い手側が振込手数料を差し引いて売り手側に支払った場合においては、
預金49,450円/売掛金50,000円
手数料500円
仮払消費税50円

となったところが、
振込手数料相当額を値引として処理する場合
売上値引500円/売掛金550円
仮受消費税50円(売上対価の返還)
預金49,450円/売掛金49,450円

以上のような会計処理となります。

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