■ はじめに ━━━━━・・・・・‥‥‥………

令和7年度(2025年度)の税制改正で「E類型(経営規模拡大設備)」​が新設され
従来対象外だった工場などの新設・増設に伴う設備投資も対象となりました!

対象には
「取得価額1,000万円以上の建物およびその附属設備」が追加されています。

■ 中小企業経営強化税制とは ━━━━━・・・・・‥‥‥………

中小企業経営強化税制とは、
経営力向上計画の認定を受けた中小企業が対象となる税制優遇制度です。

対象となる設備は、
生産性向上設備や収益力強化設備、経営規模拡大設備など幅広く、
設備取得額に応じて即時償却(取得額全額をその年の経費に計上)
または最大10%の税額控除を選択できます。

この制度を利用するためには、
必ず設備取得前に経営力向上計画の認定を受ける必要があり、
取得後に申請しても適用は認められません。

■ 受けられる税制措置 ━━━━━・・・・・‥‥‥………

即時償却または税額控除が利用可能

<指定期間>

令和7年4月1日〜令和9年3月31日まで

<利用できる方>

・    資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人
・    資本金または出資金を有しない法人のうち
 常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
・    常時使用する従業員数が1,000人以下の個人
・    協同組合 等

※各種類型については
中小企業庁ホームページをご確認ください。


■ 新設されたE類型の概要 ━━━━━・・・・・‥‥‥………

E類型(経営規模拡大設備等)は、令和7年度改正で新設された類型で、
大規模な設備投資による売上拡大や企業規模の拡大を促進することを目的としており
特に、さらなる成長段階に入り売上高100億円超を視野に
事業拡大を計画している企業にとって、飛躍の後押しとなる制度です。

【対象設備】

・    建物およびその附属設備
・    取得価額1,000万円以上
・    工場、物流施設、事務所なども対象

【適用期限】

2027年(令和9年)3月31日までに取得し、供用を開始したもの

【対象企業】

・    前期売上高10億円超〜90億円未満の法人
 (個人事業主は対象外)
・    売上高100億円超を目指す事業計画(ロードマップ)を策定
・    投資利益率(年平均)7%以上
・    最低投資額:1億円以上または前期売上高の5%以上

【税制優遇内容】

(1)即時償却または税額控除
(2)賃上げ要件を満たした場合の上乗せ
・    給与総額2.5%以上増加
▶︎特別償却15%または税額控除1%
・    給与総額5%以上増加
▶︎特別償却25%または税額控除2%

●「売上高100億円を目指す宣言」とは?

中小企業が「売上高100億円を超える企業になること」
「それに向けたビジョンや取組」を自ら宣言し、ポータルサイト上に公表を
するものです。

■ さいごに ━━━━━・・・・・‥‥‥………

売上高100億円超を目指す法人は、
成長戦略の一手としてE類型の活用をご検討ください!!

■ 省エネルギー投資促進支援事業費補助金とは ━━━━━・・・・・‥‥‥………

 省エネルギーの推進を目的に国内で事業を営む法人と個人事業主のみなさま
省エネルギー対策を支援するもので、汎用的な15設備の更新に対応する補助金です。

■ こんな企業におすすめ ━━━━━・・・・・‥‥‥………

・ 高効率空調や高性能ボイラ、冷凍冷蔵設備などのユーティリティ設備を
更新予定の企業

・ 工作機械やプラスチック加工機械など生産設備の更新を検討している企業
・省エネによるコスト削減や生産性向上を目指す企業
・ エネルギー価格高騰への対策を進めたい企業

■ 事業概要 ━━━━━・・・・・‥‥‥………

 省エネルギー投資促進支援事業補助金では、
設備導入を行う補助事業を2つの類型から選ぶことができます。

【(Ⅲ)設備単位型 ©指定設備の導入】

SIIが予め定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、
高効率な設備として登録及び公表した「指定設備」へ更新等する事業

<要件>

原油換算量のベースで更新範囲内において以下を満たす事業
(1)省エネ率:10%以上
(2)省エネ量:1kl以上 
(3)経費当たり省エネ量:1kl/千万円以上

<補助対象経費>

設備費のみ

<補助率>

1/3以内

<補助金限度額>

上限額:1億円/事業全体
下限額:30万円/事業全体

<ユーティリティ機器>

・高効率空調
・産業ヒートポンプ
・業務用給湯器
・高性能ボイラ
・高効率コージェネレーション
・低炭素工業炉
・変圧器
・冷凍冷蔵設備
・産業用モータ
・制御機能付きLED照明器具

<生産設備>

・工作機械
・プラスチック加工機械
・プレス機械
・ 印刷機械
・ ダイカストマシン

【(Ⅳ)エネルギー需要最適化型 ⓓEMS機器の導入】

SIIに登録された「EMS機器」を用いて、より効果的にエネルギー使用量削減及び
エネルギー需要最適化を図る事業

 申請単位で、「EMSの制御効果と省エネ診断等による運用改善効果」により、
原油換算量ベースで省エネルギー率2%以上を満たす事業

<補助対象経費>

設計費・設備費・工事費

<補助率>

中小企業者等:1/2以内
大企業、その他:1/3以内

<補助金限度額>

上限額:1億円/事業全体
下限額:30万円/事業全体

【(Ⅳ)エネルギー需要最適化型との組み合わせ】

(Ⅲ)設備単位型に、(Ⅳ)エネルギー需要最適化型を
組み合わせて申請することが可能です。
それぞれの申請要件、補助率が適用されます。
補助金上限額はそれぞれの事業の上限金額の合計となります。

 なお、(Ⅳ)エネルギー需要最適化型の単独申請の場合は、
省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金に申請してください。

■ 事業1年間のながれ ━━━━━・・・・・‥‥‥………

(1)交付申請書の提出
(2)交付決定
(3)中間報告書の提出
(4)実績報告書の提出
(5)補助金の受領
(6)成果報告書の提出

■ 第3回公募申請中 ━━━━━・・・・・‥‥‥………

申請期間:2025年8月13日(水)~9月24日(水)

■ さいごに ━━━━━・・・・・‥‥‥………

 初期費用の負担を軽減しながら、長期的なコスト削減と環境対応に
ぜひ活用を検討しましょう!


育児休業等給付金のことは税理士事務所に相談

さまざまな育児休業等の給付金

厚生労働省が令和6年度に育児休業を取得した男性の割合が40.5%となり前年度(30.1%)から10%以上上昇し過去最高になったと、令和6年度雇用均等基本調査で発表しました。女性の取得率は86.6%で前年度(84.1%)より微増でした。
また、2025年4月からはこども未来戦略に基づき【出生後休業支援給付金】【育児時短業就業給付金】が創設され、ますます育児休業を取りやすい環境になっているといえます。

①出生後休業支援給付金とは

出生後休業支援給付金とは、子の出生後の一定期間に、両親ともに14日以上の育児休業を取得した場合に、休業前賃金の13%が支給される制度です。


参照:出生後休業支援給付金

育児休業給付金や出生時育児休業給付金の給付額は休業開始前賃金の約67%で、これに今回の出生後休業支援給付金の13%を合わせると、休業開始前の賃金の約80がもらえることになります。
育児休業を考えている方はこちらの制度も活用してみてはいかがでしょうか。

活用のご相談は、税理士法人アイビスでお待ちしております。



リース会計基準の見直し

以前の会計基準では、リース取引は大きく分けて「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」の2種類がありましたが、取引の実態をより正確に財務諸表に反映させるため、新しい会計基準が導入されました。

原則「全てのリース」を資産計上へ

新リース会計基準の最大の変更点は、原則として全てのリース取引を売買取引に準じた会計処理の対象とする点です。つまり、特別なケースを除き、オペレーティング・リースであっても、リース資産とリース債務を貸借対照表に計上する(オンバランス処理を行う)ことになったのです。
この変更は、リース契約が実質的に資産の使用権を移転する取引であるという考え方に基づいています。

リース会計の鍵:「リース期間」の新たな定義

新しいリース会計基準では、リース取引を資産計上する際に、その金額を算定するための重要な要素として「リース期間」の定義が大きく変わりました。旧基準では、単に契約書に記載された「解約不能期間」がリース期間の原則でしたが、新基準では、経済的な実態をより重視してリース期間を算定することになりました。
新基準における「リース期間」は、以下の3つの期間の合計として算定されます。

1. 解約不能期間

リース契約において、賃借人がリース契約を解約することができないと定められている期間です。

2. 延長オプション期間

賃借人がリース期間を延長するオプションを行使することが「確実」と判断される場合の延長期間です。

3. 解約オプション期間

賃貸人がリース期間を解約するオプションを行使しないことが「確実」と判断される場合の期間です。
これらの「確実」性の判断には、経済的なインセンティブが大きく影響します。単に契約書上の期間だけでなく、将来の経済的な動機付けに基づいて、実際のリース期間を推定することが求められます。

新基準の適用時期と実務への影響

この新しいリース会計基準は、令和9年4月1日以降に開始するリース取引から適用されています。
新基準への変更は、特にこれまでオフバランス処理されてきた多くのオペレーティング・リース契約がオンバランス化されることを意味します。これにより、企業の貸借対照表にリース資産とリース債務が計上され、総資産や負債の額が増加することになります。結果として、企業の負債比率やROA(総資産利益率)といった財務指標に影響を与える可能性があるため、企業は自社のリース契約を精査し、新たな会計処理に対応する必要があります。


■ 物価高とは? ━━━━━・・・・・‥‥‥………

  物価高とは商品やサービスの価格が全般的に上昇する現象で、国民の生活費が
 増加することを意味し、家計に直接的な影響を及ぼします。

 たとえば、物価高によって日常的に購入する食料品の価格が上昇すれば、
 家計の負担は増えてしまいます。

  物価高の要因は複数あり、原材料費の上昇・労働コストの増加・
 需給バランスの変化などさまざまです。

  上記の要因が複合的に作用し、物価全体の上昇を引き起こします。

■ 物価高で企業が受ける影響とは? ━━━━━・・・・・‥‥‥………

  物価高は、消費者だけでなく企業の経営にも多岐にわたる影響を及ぼします。

  まず、原材料やエネルギーコストの上昇により、製造業や運輸業などでは
 生産コストが増加します。
  そのため、価格転嫁が難しい場合は利益率が低下して収益が圧迫されて
 しまう状況です。

  さらに、従業員の生活費増加に伴って賃上げ要求が高まり、企業は人材確保のために
 給与や福利厚生の見直しを迫られる可能性があります。
  賃上げによるコスト増加は、特に資金に余裕がない中小企業にとっては大きな負担です。

  加えて、物価高によって消費者が支出を抑制する傾向が強まり、
 売上が減少するリスクも考えられます。

■ 中小企業の物価高対策5選 ━━━━━・・・・・‥‥‥………

(1)地方公共団体の助成金

  物価高対策として、県や市町村などの地方公共団体が
 独自に助成金制度を設けています。

  地方公共団体により制度の有無や対象が異なります。
  補助金や助成金などの公的支援策は数千種類あるとも言われています。

  自社で受給できる可能性がある公的支援策の申請もれを防ぐためには、
 経済産業省が運営している
 「ミラサポplus(補助金・助成金検索サイト)」などを活用しましょう。

(2)価格転嫁(販売価格の見直し)

  原材料や人件費の上昇については、販売価格の引き上げを積極的に検討しましょう。
  販売価格の引き上げは利益の改善に直結します。

  値上げや販売価格転嫁が進むなか、コスト上昇の価格転嫁率(コスト上昇に対して
 一部でも価格転嫁できた企業の割合)は49.7%です。

  また価格転嫁の内訳をみると、原材料費の上昇分の価格転嫁率は51.4%と
 すすんでおり、人件費の上昇分に関する価格転嫁は44.7%(2024年9月時点)
 とみられています。

(3)コスト削減

  物価上昇における対策の代表例がコスト削減です。

  コスト削減の主な例は下記のとおりです。
 ●   電気照明のLEDへの変更
 ●   廃棄ロスの削減
 ●   不要な倉庫などの解約
 ●   生産性の向上による残業時間の削減
 ●  不要なシステム保守サービスの解約
 ●   自家消費用太陽光発電の導入

(4)賃上げ・インフレ手当の支給

  物価高に伴い、従業員がより給料水準が高い企業へ転職する可能性があります。

  離職の増加を防ぐためには、賃上げなどの昇給やインフレ手当など
 特別手当の支給などが必要です。

(5)生産性の向上

  物価高と人手不足に対応するためには企業の生産性を上げる必要があります。

  また2030年には労働需要人口7,312万人のうち12.1%が不足すると予測されており、
 現状の8割の従業員数で企業を維持することとなります。

  生産性の向上は製造現場だけでなく、総務や経理など
 バックオフィス部門についても検討することが可能
です。

  主な例は下記のとおりです。
 ●  検査・検品・仕分けシステムなど
    即効性がある省力化機器を導入する
 ● 顧客管理システムの導入やオンライン商談により
    営業活動を効率化する
 ● 受発注システムと在庫管理システムを
    連動させることで在庫確認作業を削減する
 ● 会計システムや勤怠管理・給与計算システムを刷新し、
    総務事務を合理化する

■ さいごに ━━━━━・・・・・‥‥‥………

  中小企業は物価高、人件費の上昇、そして人手不足に
 対応していくことが今後の生き残りの条件といえます。

  ぜひ物価高に負けない企業体質への変革を行っていきましょう!

  当事務所では、そういったご相談も随時受け付けておりますので、お気軽に
 お問い合わせくださいませ。


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