「中小企業を取り巻く事業承継の現状と計画的な取組の必要性」です。

 事業承継とは、“現経営者から後継者へ事業のバトンタッチ”を行うことですが、
 企業がこれまで培ってきたさまざまな財産(人・物・金・知的資産)を
 上手に引き継ぎ、承継後の経営を安定させるために重要です。

■ 事業継承の現状 ━━━━━・・・・・‥‥‥………

  中小企業の休廃業・解散は年間約4万件と高水準で推移し、経営者の
高齢化も進んでいます。

  代表者の多くが60歳以上となっており、事業承継の遅れは、雇用や技術の
 喪失といった深刻な課題につながっています。

▼詳しくはこちら

独立行政法人 中小企業基盤整備機構
「中小企業経営者のための事業承継対策」

■ 早めの取組が必要 ━━━━━・・・・・‥‥‥………

 経営者が70歳以上の企業でも、後継者が未定または了承を得ていないケースが
3割超
あり、事業承継の準備が進んでいないのが現状です。

 税や親族間の問題に加え、経営力や関係性、ノウハウなど“見えにくい資産”
の承継も大きな課題です。

 これらの引き継ぎには時間がかかるため、計画的かつ早期の取組と、
承継後も支援できる体制づくりが重要です。

▼詳しくはこちら

 中小企業庁「中小企業白書(2024年度)」

■ 計画的に事業承継に取り組まないと… ━━━━━・・・・・‥‥‥………

【CASE1】

 事業承継の準備をしないまま経営者の判断能力が低下したケース

 創業者A(食品製造・販売業の創業者)は数年前から判断能力が低下。

 共同経営者B(Aの弟で、現在は代表取締役)も体調を崩し退任を望むが、親族内に
後継者が不在。

 業績は悪化し、Aが連帯保証していた債務が個人資産を上回る状態に。

 Aの相続人に多額の債務が残る可能性が生じている。

<POINT!>

 事業承継の準備を怠ったことで、経営の継続が困難になったケース。
 後継者不在が予想される場合は、早期に親族外承継も含めた対策が必要。

 後継者不在が予想される場合は、早期に親族外承継も含めた対策が必要。

【CASE2】

 自社の魅力を後継者に承継できず取引先との友好な関係を築けていないケース

 創業者C(機械製造業のオーナー)は、長男D(Cの長男。後継者として取締役に
就任して久しい)を取締役に就任させたが、製品へのこだわりや魅力が十分に
伝わっていないと感じている。

 Dは取引先との関係構築にも消極的で、Cは今後も顧客の期待に応え続けられるか
不安を抱いている。

<POINT!>

 後継者に会社の強みや思いが伝わらず、取引先との信頼関係が築けていない事例。
 現経営者が後継者と対話を重ね、事業や自社の価値を共有する機会を持つことが重要。


■ さいごに ━━━━━・・・・・‥‥‥………

 事業承継では知的資産の引き継ぎが重要で、時間をかけた準備が不可欠です。

 現経営者と後継者が早期に対話を始め、知的資産を見える化することで、
円滑な承継と会社の魅力向上に繋げましょう!


新しいリース会計基準の導入に伴い、リース取引における消費税の仕入れ税額控除の取り扱いについてご質問をいただくことがございます。特に中小企業の皆様に関わる変更点について、ご説明いたします。

1. ファイナンス・リース取引の消費税の原則的な取り扱い

税務上、ファイナンス・リースは資産の売買があったものとみなされます。そのため、原則として、リース資産の引き渡しを受けた日の属する課税期間に一括して仕入れ税額控除(一括控除)を行うことになります。この原則的な取り扱いは、新しいリース会計基準が導入されても変更はありません。

2. 非上場の中小企業における「所有権移転外リース」の特例

ファイナンス・リースには、契約終了後にリース資産の所有権が借手に移る「所有権移転リース」と、所有権がリース会社に残る「所有権移転外リース」の2種類があります。

特に、非上場の中小企業の皆様は、新しいリース会計基準の適用対象とならないため、所有権移転外リースについて、会計上引き続き賃貸借処理を行うことが認められています

この場合、これまでの取り扱いと同様に、リース料を支払うべき日の属する課税期間において、分割して仕入れ税額控除(分割控除)を行うことができます。これは、非上場の中小企業が賃貸借処理を選択している限り、今後も認められる取り扱いです。

3. オペレーティング・リース取引の消費税の取り扱い

オペレーティング・リースについても、税務上は賃貸借取引として扱われることに変更はありません。そのため、これまでと同様に、そのリース料については分割して仕入れ税額控除を行うことになります。

まとめ:リース取引の内容と消費税の仕入れ税額控除の適用関係



リースの内容 仕入れ税額控除
ファイナンス・リース
所有権移転リース 一括控除
所有権移転外リース 一括控除
 ※ただし、非上場の中小企業が会計上賃貸借処理をしている場合は分割控除が可能
オペレーティング・リース 分割控除

ご不明な点がございましたら、ぜひ税理士法人アイビスにご相談ください。
その他、岡崎市・名古屋にある税理士法人アイビスでは皆様に役立つ情報を随時配信しております。


■ 経営力向上計画とは? ━━━━━・・・・・‥‥‥………

 税制優遇など、設備投資や生産性向上に取り組む中小企業を国が後押しします!

  中小企業・小規模事業者が「経営力=稼ぐ力」を高めるための取り組みを
 国が支援する制度です。
  生産性向上や設備投資などの計画を立て、所管大臣の認定を受けることで
 各種支援措置を受けることができます

 また、計画申請においては経営革新等支援機関のサポートを受けることが可能です。

■ 制度活用の主な3つのメリット ━━━━━・・・・・‥‥‥………


【1:税制措置】

 ⇒ 法人税の即時償却または税額控除が可能となります。

  中小企業経営強化税制(法人税 所得税)の活用により、即時償却又は最大で
 10%の税額控除が可能です。

  法人税・所得税の納付額を抑えられることが見込めます。

<指定期間>

 平成29年4月1日から令和9年3月31日までの期間

<利用できる方>

 ・ 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
 ・ 資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する
  従業員数が1,000人以下の法人
 ・   常時使用する従業員数が1,000人以下の個人
 ・   協同組合等

<設備の概要>

 ◎  A類型(生産性工場設備)

  生産性が旧モデル比年平均1%以上向上

 ◎ B類型(収益力強化設備)

  投資利益率7%以上のパッケージ投資

 ◎  D類型(経営資源集約化設備)

  修正ROA(総資産利益率)または
  有形固定資産回転率が一定以上上昇する設備

【2:金融支援】

 ⇒ 融資信用保証などの支援措置により、資金調達がスムーズに。

  日本政策金融公庫による融資等様々な支援が受けられます。
  納付税額を抑えることに加え、事業を拡大する際に有効です。

【3:法的支援】

 ⇒ 事業継承などに関する法的な特例措置を受けられます。

  他者から事業を承継するために、土地・建物を取得する場合、
 不動産取得税の軽減措置を利用することが可能です。

■ 2025年4月1日以降の変更点 ━━━━━・・・・・‥‥‥………

 2025年4月1日より、経営力向上計画の申請に関する柔軟な取扱い
 (工業会証明書(A類型)、経産局確認書(B・C類型)の申請手続と同時並行で、
 計画認定に係る審査を行うことを可能とする特例。)が終了となっております。

■ 計画策定 ━━━━━・・・・・‥‥‥………

(1)制度の利用を検討、事前確認・準備
(2)経営力向上計画の策定
(3)経営力向上計画の申請・認定
(4)経営力向上計画の開始、取組の実行

■ 申請方法(郵送または電子申請が可能です) ━━━━━・・・・・‥‥‥………

【郵送にて申請の場合】

(1)経営力向上計画申請プラットフォームで申請書を作成
(2)PDFで出力
(3)郵送にて送付

【電子申請の場合】

 (1)経営力向上計画申請
    プラットフォームで申請書を作成
 (2)電子申請を行う

\電子申請がオススメ!メリットがたくさんあります!/

 ● 紙申請よりも認定までの期間が短縮!
 ● 申請書作成においてエラーチェック
 ● 自動計算などのサポート機能付き

■ さいごに ━━━━━・・・・・‥‥‥………

  メリットがたくさんの経営力向上計画!
  ぜひ策定して税制や金融支援等を受けましょう!



この度、税制改正により、企業の皆様がリース資産を保有される際の「減価償却」のルールが大きく見直されることになりました。

特に、これまで税務上の費用として認められにくかった部分についても、償却(経費計上)が可能となり、皆様の税負担軽減に繋がる可能性があります。

「残価保証額」とは何か

リース契約の中には、期間終了時の資産の価値が、事前に決めた金額(保証額)を下回った場合に、その差額をリースを利用している会社が支払う、という取り決めがあることがあります。

この「保証額」を「残価保証額」と呼びます。

これまでの取り扱いと変わること

●これまで

これまで、リース資産の減価償却では、この「残価保証額」の分は税務上の費用(償却)として認められず、実質的に経費に計上できない部分となっていました。

●令和7年度税制改正で大きく変化すること

この改正により、リース資産の取得価額から「残価保証額」を控除せずに、減価償却ができるようになります。

これにより、これまで償却できなかった部分も、税務上の費用として計上できるようになるため、法人税の負担軽減に繋がる可能性があります。

適用開始日

原則としては、令和9年4月1日以後に締結するリース契約が対象となります。

しかし、すでに締結しているリース契約(令和9年3月31日以前の契約)についても 令和7年4月1日以後に開始する事業年度から、この新しい償却方法(「経過リース期間定額法」と呼ばれます)を適用できる「経過措置」が設けられました。

これにより、中小企業を含む多くの法人の皆様が、早めにこの優遇措置を活用できるようになります。

経過措置適用のための手続き

この新しい償却方法(経過措置)を適用するためには、税務署への届出書の提出が必要です。

適用を希望する事業年度の法人税申告書の提出期限までに、所轄の税務署長へ届出書を提出する必要があります。

注意点として、適用する事業年度に保有している全ての対象リース資産に、この方法を適用する必要がある点にご留意ください。

ご自身のリース資産が対象になるか、どのように手続きを進めたら良いかなど、ご不明な点がございましたら、ぜひ税理士法人アイビスにご相談ください。

その他、岡崎市・名古屋にある税理士法人アイビスでは皆様に役立つ情報を随時配信しております。



「新リース会計の「使用権資産」は税務上は減価償却資産とされないことによる税務への影響」について岡崎市・名古屋市にある税理士法人アイビスが情報をお届けします。

新リース会計基準では、少額リースなどの一部の例外を除きすべてのリースについて資産および負債を認識することになります。その結果、税務上どのような影響があるのかを解説します。

1.    新リース会計基準になることの背景

従来の基準では、オペレーティングリースが貸借対照表に計上されなかたったため、リース取引の実態が十分に反映されないという課題がありました。また、国際会計基準との整合性を図るために改正することとなりました。

2.    新リース会計基準でリースとして認識されるもの

リースとして認識するものは、「資産が特定されているか」「特定の資産の使用から生じる経済的利益のほとんどすべてを享受する権利を有しているか」「資産の使用を指図する権利を有しているか」の3点です。仮に契約書に「リース」と文言がなくても上記3点に該当すればリースとして認識することとなります。

3.    新リース会計基準のリースの会計処理

リース開始時



借方 貸方
使用権資産 ××× リース負債 ×××

従来は借方「リース資産」として計上していましたが、新基準では「使用権資産」で統一をされました。

リース料支払いの際



借方 貸方
リース負債 ××× 現金預金 ×××
支払利息 ×××

使用権資産の償却



借方 貸方
減価償却費 ××× 使用権資産 ×××

新会計基準では、使用権資産を減価償却資産として扱い償却を行います。

4.    新リース会計基準と税務上のリースの取り扱いの違い

税務上はリースの取り扱いは従来通りであるため、使用権資産は減価償却資産とは認められず、リース資産を減価償却資産として存置されます。そのため、会計上の減価償却費と税務上認められる減価償却費の額に違いが発生する場合があり、申告調整が必要なることがあります。

5.    制度の施行時期

新リース基準の施行時期は2026年4月1日以降開始する事業年度から適用するため2027年3月期決算から適用開始の企業が多数になります。

名古屋・岡崎市の税理士法人アイビスでは、事業者様へのお役立ち情報をお届けしております。
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